中国
稀少文献

一、内容、規模
『中華民国史歴史史料外編』は別名『日本末次研究所情報資料』と呼ばれている。日本が中国を侵略し占領していた時期に中国国内に数多くの情報機関を設置していた。その中の一つ「末次研究所」は日本が当時北京に設けた情報機関で、同研究所の責任者、末次政太郎の名前をとっていた。『末次研究情報資料』というのは同研究所が30年以上の年月をかけて収集、整理した情報資料のことを指している。

 本資料の主要な構成は1912年、孫文による中華民国建国、南京臨時政府成立、清朝滅亡の時から1940年、毛沢東の『新民主主義論』発表や日本の大東亜共栄圏構想発表前後の中国内外50種類以上におよぶ中国語新聞や英字新聞、日本語新聞などさまざまな新聞を分類・整理したものである。その内容は中国国内の問題や日中関係に関する政治、軍事、外交、社会事情などの内容を積極的に収集。日中関係や日中戦争を主軸として中国社会の情勢及び国際関係など多くの重要な資料が網羅されている。

また本書には『中国国民党政府国防部参謀総長事務室スクラップ資料』が添付されている。同資料は7編に分類され、収集の期間は1946年6月から1947年10月までであり、『末次情報資料』の続編といえる。
これらの資料をつきあわせると国民政府統治下のいわゆる「中華民国」当時の中国の歴史的社会的情況を包括的に、そして詳細に眺めることができる。従って、我々は同書の出版に際し『中華民国史料外編』と題することとした。

二、本書の特徴
 『末次情報資料』中国の近代、現代史の資料を多方面にわたって収集しているため、中国近代史、中日関係史、国際関係史の研究などの分野で新たな資料を豊富に提供している。中国近代史にとって極めて重要な資料集として歴史学者や社会学者、文学・文芸に携わる人々にとって有益な一書といえる。
 同資料は日本が中国を長期的に侵略・占領していた時期の綱目が最も多く。「九一八事変(満州事変)」「一二八事変(上海事変)」「芦溝橋事件」関係及び抗日戦争初期に関する資料が150余集。その内容も中国人の反日・抗日運動に関するものが多く、中国を侵略した日本の犯罪行為を明らかにする証拠ともなっている。

この他、中国近代史の多くの事件や出来事にも詳細にふれている。例えば、1916年6月6日の袁世凱の失脚、1917年6月30日、宣統の復位。1936年11月14日、張学良と楊虎城の発動による西安事件など種々の情報が網羅され、まさに一級の研究資料としての価値がある。
『中華民国史料外編―末次情報史料』